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2021.04.14
IT導入補助金が目指す、労働生産性の向上とは?|エフコムのIT-Tips!
いよいよ受付が開始された2021(令和3)年度IT導入補助金。その目的は「中小企業・小規模事業者等の生産性向上を図ること」(※)とされています。
生産性向上とは、どのようなことを示すのでしょう?
本記事では、この生産性向上をわかりやすく解説いたします。
(※令和元年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金 交付規定(通常枠))
IT導入補助金の交付規定や公募要領、各種手引きなどを読むと「生産性」と「労働生産性」の2つの単語が使われていることに気づくかと思います。まずは、それぞれの違いを確認しましょう!
生産性とは?
生産性とは、あるモノやサービスを産み出す(アウトプットする)ために、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)がどのぐらい効率的に使われた(インプットされた)かを表したものです。企業の「稼ぐ力」を数値で表したものと言えます。
生産性は、次の式で表現されます。
生産性 = アウトプット ÷ インプット |
生産性は、どのアウトプット/インプットに注目するかによって、いくつかの種類に分けることができます。
IT導入補助金では、「ヒト」に注目した「労働生産性」を採用、補助金がどのぐらい効果的につかわれたかを確認するための効果測定指標の一つとして用いています。
労働生産性とは?
労働生産性とは、あるモノやサービスを産み出すために労働力がどのぐらい効率的に使われたかを表したものです。
言い換えると、従業員1人あたり、あるいは、労働1時間あたりでどれだけのモノやサービスを産み出したかを表したものです。
IT導入補助金では、母数となるインプットは「労働1時間当り」を、アウトプットは「粗利」を採用しています。つまり、「従業員が1時間当りに稼ぐ力」を効果測定指標としているわけです。
式は次のとおりです。
【IT導入補助金における「労働生産性」の式】 労働生産性 = 粗利 ÷ (従業員数 × 1人当たりの年間勤務時間平均) 粗利 = 売上 - 売上原価 |
IT導入補助金における生産性=労働生産性
このように、IT導入補助金が目指す生産性の向上は、労働生産性の向上を指しています。
なぜ、「ヒト」に注目した生産性の向上を目的としたのでしょうか?
ひとつは、世界における日本の労働生産性の低さがあげられます。特に、中小・零細企業の労働生産性の低さが課題になっています。
こうした状況を受け、国家施策レベルでの対策としておこなわれているのがIT導入補助金なのです。
(参考) 日本の時間当たり労働生産性は、47.9ドル。OECD加盟37カ国中21位 |
もう一つの理由は、人材不足への対応です。
現在日本は、少子高齢化・人口減少社会を迎えています。それに伴い、国内マーケットは縮小、稼ぎ手(人材)は減少傾向です。
このような中、これまでと同等か、それ以上の稼ぎを得るにはどうしたら良いのでしょうか?従業員が1時間当りに稼ぐ金額を増やす(労働生産性を高める)方法が考えられます。
稼ぐ金額を増やす方法は、大きく2つあります。
一つは、アウトプットであるモノやサービスの価値を高め、より選ばれるモノ・サービスにする方法です。より選ばれるということは、ニーズが向上したり、高い値段でも売れるモノ・サービスになったりすることを意味します。
そしてもう一つの方法は、業務を効率化しコストを削減する方法です。つまり、売上に対する原価を小さくすることで粗利を大きくする、という方法です。
厳しい環境の中で稼ぐ金額を増やすため、生き残るためには、上記2つの方法のいずれか、あるいは、両方に取組む必要があります。
稼ぐ金額を増やす具体的な取組み=IT活用!
アウトプットであるモノやサービスの価値を高めたり、コストを削減したりする方法はさまざまありますが、その1つがITの活用です。
例えば、ECサイトを開設し、24時間365日買い物できる環境を顧客に提供する。
単純作業や定型業務は、RPAなどのITツールで自動化する。
インボイス制度に対応した会計システムを導入し、制度対応にかかる時間やコストを抑える。
様々なIT活用が考えられます。
IT活用に必要な費用の一部を補助=IT導入補助金!
IT導入補助金は、こうしたIT活用に取組みたい、でも予算が心許ない・・・そのような、中小企業・小規模事業者の皆さまなどを応援する事業です。
あらゆるIT活用・事業者が対象となるわけではありませんが、予算がネックでIT活用が進んでいない場合、活用を検討されてはいかがでしょうか?