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2017.03.08

改正個人情報保護法について(1)

平成29年5月30日より、改正個人情報保護法が全面施行になります。今回の改正で特に注目して頂きたい点は、これまで個人情報保護法の適用外だった小規模な企業や団体も、改正によって法律が適用されるようになる事です。実質的には、ほぼ全ての事業者に個人情報保護法が適用される事になります。

エフコムブログでは、3回に分けて改正個人情報保護法の特集記事を掲載。第一回となる本記事では、個人情報保護法改正の背景について詳しく解説します。

個人情報保護法 改正の背景


2005年4月に個人情報保護法が全面施行されてから、10年以上が経ちました。その間のICT技術の進歩によって私たちの暮らしは便利で豊かになりましたが、その一方で、個人情報保護法の制定当時には想定されなかったような様々な課題や問題も表面化してきました。

ビッグデータ時代の到来
ビッグデータ解析

ICT技術の発展によって、生活のあらゆる場面で膨大なパーソナルデータが収集・分析される、「ビッグデータの時代」がやってきました。交通系ICカードには個人の移動に関する履歴が記録され、クレジットカードには商品やサービスの購買履歴が残ります。

これらのパーソナルデータを集めたビッグデータの適切な利活用は、新しいサービスや産業の創出を促し、社会・経済の問題を解決に導くものとして非常に大きな期待を集めています。

個人情報のグレーゾーン問題

その一方、従来の個人情報保護法では、集めたビッグデータの中で企業が自由に利活用できるのはどの範囲なのか?個人情報として保護するべきはどの範囲なのか?といった個人情報の定義が曖昧(グレーゾーン)でした。

乗客の移動データを第三者に提供しようとした大手の鉄道会社が社会的な批判を浴びるなど、ビッグデータの利活用にはリスクが伴っていました。リスクを恐れた企業が躊躇していたため、結果としてビッグデータの利活用はなかなか進まなかったのです。

個人情報のグレーゾーン問題
情報漏えい

もう1つ、社会的に大きな関心を集めたのが、大企業の個人情報漏えい事件です。企業の内部関係者が個人情報データを持ち出し、いわゆる「名簿屋」業者を通じて転売が繰り返された末に別の企業に販売された事案は、報道でも大きく取り上げられる話題となりました。

悪質なサイバー攻撃による情報漏えい事件も発生し、個人情報の管理・保護についての懸念は一層高まっています。

個人情報保護法 改正の背景


このような社会情勢を背景に、個人情報の保護を強化して国民の安全・安心を実現する事、ビッグデータの利活用を促進して新たな産業やサービスを創出する事を目的とした個人情報保護法の改正が行われました。改正法は平成29年5月30日から全面施行となります。

さてそれでは、今回の法改正では従来の個人情報保護法と比べて何がどう変わったのでしょうか?次回(第二回)記事では、個人情報保護法の具体的な改正ポイント、特に企業や団体の活動に影響のある項目に焦点を絞って詳しく解説します。


第二回記事に続きます!次回記事では個人情報保護法の具体的な改正ポイントを扱います。